2008年6月21日土曜日

桐朋アカデミー・オーケストラ 合同特別演奏会

指揮:秋山 和慶、ピアノ:岩倉 彩子
6月20日(金) 19:00 開演
オーバード・ホール

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15
ブルックナー:交響曲 第4番 変ホ長調 「ロマンティック」WAB.104 [ハース版]

 面白い内容の演奏会でした。メインは、うごめく音響体としてのブルックナーといいますか、オーケストラの力強さ、気持ちよい鳴りに圧倒されました。それでいて、テクスチュアの変化に敏感で旋律美も垣間みられ、均等に鳴らせばいいってワケじゃないパート間の微妙なバランスなどもうまく整えられていました。秋山さんは、聴かせどころを押さえているな、という感じです。ああそうそう、第1楽章、練習番号Lの前にティンパニーが入れられてましたね。

 岩倉さんのピアノは、安定したピアニズムに柔軟な音色の変化があり、全体としてバランスのよいものでした。そしてそれは、モーツァルトから引き継がれた古典的均整美と、後に円熟味を増す、ベートーヴェン独自の、表現への飽くなき欲求とが織り混ざった第1協奏曲にはプラスだったと思います。第2楽章の終結部など、単に楽想が収斂しただけでなく、オーケストラと、まさに一つに融合した音になっていて、これだけでも、なかなかできることじゃないなあ、って思います。

 もちろん細かなところでのアンサンブルの粗さや、秋山氏のリードにもっとオケ・メンバーが反応してほしいことなど、気になるところはあります。しかし、富山では極めて満足度の高い内容ではないかと思います。