2008年9月14日日曜日

OEK第246回定期公演

オーケストラ・アンサンブル金沢第246回定期公演
岩城宏之メモリアル・コンサート
2008年9月10日、石川県立音楽堂、19:00ST
井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢
木村かをり (ピアノ)、薮内俊弥 (ナレーション) (三枝作品)
荒井結子(チェロ) (ハイドン)

・三枝成彰 ピアノ協奏曲《イカの哲学》 (OEK委嘱作品、世界初演)
・ハイドン チェロ協奏曲第2番ニ長調Hob.VII-2
・ベートーヴェン 交響曲第1番ハ長調作品21


三枝成彰氏の《イカの哲学》は、おそらく急緩急の三部形式といえるのでしょう。ナレーションはストレートに行なわれるときもあるし、シラブルごとに分け、進行する音楽とシンクロさせられる箇所もありました。普通のアナウンサーがナレーションを担当するのは、かなり難しいのではないでしょうか (薮内俊弥氏はバス歌手だそうです) 。オケが終始鳴りまくり、金管楽器が細かい音符を吹きまくる一方で、細かいニュアンスよりも、とにかくたくさんの音符を大きく、ただし正確なリズムで鳴らすという印象です。派手に厚い響きになっていて、埋もれているパートも多いのでしょうか。ピアニストは上下に動く運動が多かったです。中間部はノスタルジックにリリカルな部分でしたが、全体はやはり分厚い19世紀的和声+ジャズ+無調的スパイスとまとめられるのでしょうか???

演奏時間14分ということで、あのネタで面白さを保つにはちょうどいい長さなんだろうと思いました。あ、僕嫌いじゃないですよ、こういうの。演奏者のみなさん、お疲れさまでした。

ハイドンのチェロ協奏曲第2番を演奏した新井結子さんは、2年前にサン=サーンスの協奏曲第1番をやったときから比べると、ずっと堂々と自分の音楽をやっているという感じがして、一人の音楽家として、とても頼もしい存在に成長されたように思います。テクの問題を色々と言われる方がいるのかもしれませんが、僕はそういうものを乗り越えた音楽的な魅力を体感しました。高音域にスライドしていくような歌い上げが良かったですね。今後がますます期待できそうです。

休憩を挟んで、ベートーヴェンの第1交響曲。基本的にメリハリの効いた解釈が好きなので、井上氏のベートーヴェンは割とすんなり入っていけました。私にとってOEKは、モーツァルトやべートーヴェンを積極的に聴きたいと思う、数少ないオーケストラの一つです。

なおアンコールにNHKの大河ドラマ『篤姫』のテーマ音楽 (吉俣良作曲) が演奏されました。OEKの編成ではバランスを取るのが難しいんじゃないかと思うのですが、不自然な感じはしなかったです。番組冒頭で流れているフル・オケ版も井上氏が指揮しているらしいので、それも含めて、うまくアレンジ/リハーサルされたのだろうと察します。